そうだったのか、二宮尊徳像


 油日小学校の玄関脇にひっそりと石像がたたずんでいます。薪を背負いながら、本を読む二宮尊徳の少年時代(金次郎)の像です。皆さんのお父さんやお母さん、おじいさん、おばあさんも小学生だったころ、きっとこの像を毎朝見ながら登校されたことでしょう。      
 そもそも、二宮金次郎(尊徳)とは、どんな人だったのでしょうか。二宮金次郎は江戸時代末期に農民の子として生まれ、貧しい少年時代を過ごしました。彼は朝から晩まで真面目に自ら働き、家では勉強させてもらえなかったので、集めた薪を家に持って帰る途中に本を読んで一生懸命勉強をしました。金次郎(尊徳)は、大人になって、荒廃した農村の復興に努め、独特の農法・農村改善策により、人々の暮らしを豊かにしたのです。この像は、戦前(第二次世界大戦前)に全国の各小学校に建立されました。国が金次郎の勤勉・倹約の精神を教育の象徴としたかったためと思われます。
 油日小学校の二宮金次郎像は、昭和八年(1933年)に本校の卒業生でもある山下萬吉さんが寄贈されたものです。山下さんも少年時代に苦労を重ねながら勉強され、無駄づかいをせず、貯金することを大切にされ、ついに昭和二年(1927年)に大阪で女性子供服店を創業されました。母校への恩返しや金次郎の精神の継承という気持ちから寄贈されたのではないかと思われます。玄関前の二宮金次郎像には、そのような歴史があったのです。