自然観察会をしたよ!
ビオトープで自然とふれあいました。
エコパークには生き物がいっぱい!
シカが来ました。
(株)ラーゴさんのご協力により、今年度エコパークには動物の生態を調べることができるカメラが設置されました。そこには、たくさんの野鳥そして今まで知ることがなかった野生動物が映りこんでいました。児童玄関入口のテレビには、その映像が繰り返し流されていて、子どもたちもその映像に興味津々です。環境学習の教材として活用していきたいと考えています。 2022年6月1日
ビオトープの生き物
ビオトープでみられる生き物について、少しずつ紹介していきます。
タンポポ(綿毛で遊んだポピュラーな花)
タンポポがあちらこちらで黄色い花を咲かせています。今見られるタンポポには在来種と帰化種があって、どちらのタンポポが見られるかで環境を調べることができます。。
滋賀県でも1993年から琵琶湖博物館が中心となって県下一斉の大がかりな調査を行っていました。帰化種と在来種の違いは、イラストのように、総ほうという部分を見ればすぐにわかります。
タンポポが在来種か帰化種かを見分ける調査は、環境調査としてだけでなく、植物の生存戦略を考える上でも大変おもしろいものです。
ニホンザル(私たちに一番近い生き物)
サルは数少ない昼行性の大型ほ乳類です。冬の野山では、広葉樹の枝が落ちて見通しがきくので、サルの群が木の芽や木の実を食べているのを見かけることがあります。人の気配に気づくとすぐに移動してしまいますが、ある程度の距離があればそのまま居続けることもあります。
最近では、このような山の獣が里近くに降りてきていろいろと問題になっています。山の餌が少なくなったとか、人間が山に近づきすぎたとかいろいろと原因はありますが、彼らの住む場所がどんどん減ってきているのは事実です。サルは畑の作物はもちろん、収穫して保存している物も盗りにくることがあるので、嫌われています。山の獣と人間が折り合いをつけることがこの先できるのでしょうか。
センリョウ、マンリョウ(お正月を祝う木)
エコパークにはないのですが、千両と万両を紹介します。正月を祝う木として、千両や万両を使います。どちらも濃い緑の葉に、赤い小さな実がたくさん付いています。
この二つは、分類上はかけ離れた種類で、センリョウはセンリョウ科、マンリョウはヤブコウジ科に属します。マンリョウの方が葉の鋸歯がやわらかめで波打っているぐらいにしか考えてなかったのですが、よくみると葉の付き方は違うし、花に至っては形がまるで違っています。
昔の人は、山に生えている同じような二つの木の違いまでもよく見ていたんだなーと、思わず感心しました。今年もみなさんに幸多かれと祈念いたします。
ハナノキ(学校のシンボルツリー)
紅葉の見ごろは11月ごろですが、ハナノキについては、どこかで紹介したいと思っていました。ハナノキは中部地方に自生するカエデ科の落葉高木です。大変珍しい木で、東近江市にあるものは天然記念物になっています。この油日小学校のハナノキもそれに匹敵する大木で、甲賀市では油日小学校以外には見られない貴重な木です。紅葉も美しいですが、4月ごろ赤い小さな花がたくさん咲きます。学校のシンボルツリーです。
油日小学校では、ビオトープを核とした体験的な学習を行っていますが、その大部分を占める総合的な学習の時間を「ハナノキ」「花の木」という愛称で呼んでいます。
ヤマハゼ、イチョウ、カエデ、ハナノキ(紅葉する木々)
秋も深まり、紅葉が色づいてきました。山にはえる木の中で、一番早く赤くなるのがヤマウルシの仲間です。ヤマウルシの仲間には、ヤマウルシの他、ヤマハゼ、ヌルデなどがあります。中でもヤマハゼは真っ赤に紅葉してとても美しいです。
エコパークには美しく紅葉する木はあまりありません。前出のウルシなどは「かぶれの木」とも呼ばれ、葉などにさわっただけでかぶれる人がいますので、小さいうちに抜いてしまいます。
学校にある木で紅葉が美しいのは、前庭のイチョウやカエデ、そして学校のシンボルツリーハナノキです。一番盛りの時期にぜひ見に来てください。
いろいろなドングリ(里山の秋のめぐみ)
エコパークでは、コナラ、クヌギ、シイ、シラカシなどの、いろんなドングリを拾うことができます。ドングリは形もかわいらしいし、昔からコマなんかを作って子どもたちがよく遊びました。
ドングリをよく見ると、いろんな形、大きさのものがあります。特にドングリが木とくっついている部分はいろんな形、模様があります。これを詳しく調べるとそのドングリが何という木の実であるかがわかります。
イラストは代表的なドングリです。図鑑にもいろいろ載っているので拾ってきたドングリを調べてみましょう。エコパークにもあるマテバシイは、いって食べることができます。クッキーなんかに入れるとおいしいですよ。
ヒガンバナ(田んぼのあぜ道を赤く彩る花)
秋のお彼岸ごろになると、田んぼの土手などに真っ赤な目立つ花を見かけます。これがヒガンバナです。この花は他にもいろいろな名前で呼ばれます。マンジュシャゲ、シビトバナなど何十種類もあるそうです。
ヒガンバナはもともと、飢餓に備えて植えられたそうです。根は毒を持つのですが、水にさらすと毒が消えます。私は食べたことはありませんし、食べたという話も聞いたことがありません。いったいどんな味がするのでしょうか。
イラストは琵琶湖の最北端の海津大崎で見かけたヒガンバナです。古い桜の木の根本にかたまって咲いていました。青い空と琵琶湖をバックに燃えるような花はとても美しいものでした。
カワムツ、ムギツク、カワヨシノボリ(杣川の魚たち)
少し水温が高くなってきたので、魚つかみの話題です。昨年、杣川で先生方と魚つかみをしたところ、カワムツ、ムギツク、カワヨシノボリがとれました。
タモを持ち、くつのままじゃばじゃばと川に入ります。ヨシの茂みにタモをかまえて、足で魚を追い込みます。油日の先生方は、魚つかみをよくされるそうで慣れたものです。
魚のほかに、サワガニ、ヤゴなどいろんなものがとれました。魚で一番多かったものは、カワムツです。保健室前の水そうで飼育していたら大きく育ってきています。
杣川水系には、そのほか、カマツカ、ギンブナ、アカザなどもいます。小さな川にもまだまだ生き物がいるんですね。危ないので、子どもだけで川へ魚取りには絶対行かないこと。必ず、大人の人と一緒に行きましょう。
ホウネンエビ、カイエビ、カブトエビ(田んぼの甲殻類)
田んぼに水が入れられると、いろんな生き物も活動を始めます。ホウネンエビ、カイエビ、カブトエビもそんな生き物の仲間です。
田んぼの甲殻類はアメリカザリガニがよく知られていますが、これら3種はあまりなじみがないようです。カブトエビは生きた化石として話題になることもありますが、珍しい生物ではありません。私の印象では、都市近郊の田んぼで増えてきているといったところです。カイエビやホウネンエビは昔から田植えの時期の田んぼにいました。
中学校の科学部が調べたところによると、近くの田んぼには、カブトエビはほとんどいないそうですが、もし見つけたら教えてください。
カタクリなど(球根が春に向かって目を覚まします)
カタクリは春の雑木林で一番に花を咲かせます。家の近くの運動公園につながる雑木林で赤紫のカタクリの花を見つけました。残念ながらエコパークではまだ見つけていません。
カタクリという名前からもわかるように、昔はこの球根から片栗粉をとっていたそうです。今では、群生しているところはあまり見かけません。雑木林の手入れをあまりしなくなったとか、杉の林ばかりが増えたとか、受粉をする昆虫が減ってしまったのだとかいろいろ理由があるようですが、愛好家の乱獲も原因のひとつだそうです。
そうだとしたら、たいへんに悲しいことだと思います。春の妖精にもたとえられるこの花が姿を消してしまうことのないようにしたいものです。
クヌギ、シイ、メタセコイヤ(葉の落ちる木、落ちない木)
2月のエコパークで生き物を見つけるのは大変です。でも、よく見てください。地球上で一番背が高くて、寿命の長い生き物、たくさんの木がエコパークでは暮らしています。
エコパークで一番背の高い木は、三角すいの形がきれいなメタセコイヤで、冬には葉がありません。メタセコイヤは生きた化石で、200万年以上前の地層から、実や葉の化石がよく見つかります。クヌギも同じように葉っぱをすべて落として冬の寒さをしのいでいます。
同じどんぐりの仲間なのに、シイやマテバシイは青々とした葉を茂らせています。南方系の常緑樹であるタブノキも寒さに強く、どっしりとした感じでいます。冬の間に、葉の落ちる木と落ちない木を見分けて、樹名板で名前を覚えましょう。
ヒヨドリ(冬はバードウォッチングの季節)
ヒヨドリは尾が長めの灰褐色の鳥です。昆虫や、木の実を食べますが、特に熟した柿のような甘い物が好きなようです。花の蜜もよく食べるので、冬の間食べ物が少ない季節には、木の実や花のたくさんある家の庭にもよくやってきます。
一度名前を覚えたら、見分けるのは簡単な鳥です。飛び方にも特徴があり、イラストのように羽ばたいてはしばらく翼を休め、またはばたくという飛び方をします。すると、とんだ後をたどってみると、飛行の軌跡が波形になっています。空中でホバリングしながら花の蜜をすったりクモを捕ったりするのも得意です。
クスサン、イラガ(卵やまゆで冬を越す生き物たち)
冬になると雑木林は見通しが良くなります。今までは見えなかった小鳥の活動などがよく見えます。気温が低いので小動物はほとんど冬ごもりしてしまいますが、その様子を観察するのもまたおもしろいものです。
ガは親で、マユで、卵でと様々な形で冬越しをします。イラガはマユで冬越しします。小さな小鳥の卵のような物が木の梢にしっかりくっついています。クスサンは卵で冬越しです。食草の幹に直径2ミリぐらいの卵を固めて産みます。
クスサンが生まれてきた幼虫のえさのことまで考えて卵を産むのも驚きですが、イラガのマユがどんな方向を向いているものが多いのか調べてもおもしろいでしょう。
アイ、ムラサキ、イブキジャコウソウ(西側の薬草園)
「くすりのまち甲賀町」のビオトープとして、地元企業シオノギの油日薬草園の指導と協力を得ながら、地域種の薬草を栽培しています。薬草は、地域種で体験活動に繋がるものとしてアイ、ムラサキ、イブキジャコウソウを植えています。
5月になると、イブキジャコウソウ(左一列)が茂り、藤色の可憐な花を咲かせます。右側の背の高い薬草はアイとムラサキです。
3年生が薬草学習の一環としてアイを栽培し、アイ染めに挑戦しています。朝摘みした生葉を使い、薬科大学の先生の指導のもと、色の変化に感動しながらたたき染めと絞りを加えた青汁染めに取り組みました。
6年生はムラサキを栽培し、紫根染めをした布を使って、家庭科の「お世話になった人へのプレゼント」として小物づくりをします。このように、エコパークの薬草は子どもたちの学習におおいに役立っています。
トンボ・コガネムシなど昆虫のなかま
1学期の終わりから秋の深まるころにかけて、ビオトープには様々な昆虫(6本あしのむし)のなかまが見られます。特に、水辺であるため、水生昆虫、トンボ類の種類が多く、特にクロイトトンボが多く確認されます(7月ごろ)。クロイトトンボは日当たりが良く、水草が生育しているため池に生息するイトトンボです。
樹木の伐採・剪定で日当たりが良くなったこと、アメリカザリガニの駆除で水草が育ちやすくなったことから、数が増えてきたのでしょうか。
また、コナラなど、木の幹に「みつ(樹液)」がでるのをねらって、シロテンハナムグリ、カナブン、ヨツボシケシキスイといったみつ(樹液)に集まる昆虫類も集まります。
これから秋が深まるにつれて、コオロギなどの鳴く虫が大合唱するでしょう。
マルタニシ、カワニナ、ドンコ(水棲動物)
エコパークには、多くの水棲動物が棲んでいますが、7月10日に5年生が行った生き物調査では、マルタニシ、カワニナ、ドンコが非常に多く見つかりました。
マルタニシ、カワニナは巻貝の仲間で、水底にたまった汚れを食べて掃除してくれる役割をしています。また、カワニナはホタルの幼虫のえさになるので、もしかしたら夜にビオトープを訪れるとホタルがみられるのかなと思いました。
ドンコはハゼの仲間で、大きな口でえさの水生昆虫などを丸呑みしてしまいます。でも、メスの産んだ卵を、オスが孵化するまで守るといった性質も持っています。意外にイクメンなのですね。
エコパークには、かつてミナミメダカがたくさんいたそうですが、今はあまり多くありません。冷たい井戸水を入れているので、水温が低すぎて減ったのかもしれないと考えています。
今後は、茂りすぎた池の上の枝をはらうなどして、もう少し太陽の光が入るようにしたいのですが、学校職員だけでは難しいのが悩みのたねです。
ガガブタ・アサザ(水草の一種)
エコパークには、アサザやミクリといった、現在は街中ではあまり見かけない水生植物が繁茂しています。アサザは、ハスを小さくしたような水草で、6月ごろ黄色の可愛い花を咲かせます。
これらの水草と同じように、ガガブタという水草もエコパークで育てられないか、株式会社ラーゴさん、シオノギ製薬(油日植物園)さんと協力して研究しています。ガガブタは昔、琵琶湖岸や県内のため池に広く分布していましたが、環境の悪化で激減してしまいました。20 年前には県内での自生地が3 カ所までに減少し、平成25 年時点では、杣川源流を含む2 カ所のみになっていたそうです。
このままでは、ガガブタが滋賀県から絶滅してしまいます。そこで、何度かエコパークの池に植えてみましたが、ガガブタの芽はザリガニなどの大好物で、うまく育ちませんでした。現在は、保健室前の廊下にある水槽で育てています。大きく育ったら、池に戻してみてはどうかと考えています。